カラフル(徒歩日本横断#37)

37日目の今日は道の駅ひらたの休憩所で起床

宿泊禁止とはあったが、特別に許可をいただき寝かせていただいたが、空調も効いているし電気も消えてゆっくり寝ることができた。

そんな今日はいよいよ福島最後の市町村。いわき市街に向けて歩く。距離にして43キロほどだが、もはや40キロを超えるとて不安や怖さなど特別な感情を抱かなくなってきた。いつも通り歩く、ただそれだけ。足がしっかり徒歩旅用に強くなったのだろう。

雨予報が相変わらず晴れる毎日。ありがたいことだが、いつになったら天気予報は当たるのか…少し気象庁が心配になってくる。

ここは標高400mを越えているので、さすがに晴れていても朝はスッキリと涼しい。今日はこれからまずは標高600弱まで国道49号を上がって、そこから30キロほどはひたすら下り坂でいわき市街に出る行程だ。

木々で東から差し込む朝日は遮られ、さらに涼しい状態で登っていく。気温は23度。3日前の猛暑はどこへ行ったのだろうか。あの日が今年最後の猛暑日だったのだろうか。真夏のピークは完全に去ったらしい。

そしてその涼しさのまま標高500m地点でいわき市に入る。これからまた少し降りて、次の峠がピークになる。ちなみにまだ市街地は35キロ先

そして次の長沢峠もゆるゆる登りながら無事頂上にたどり着き、田舎の峠あるあるな頂上の寂れたドライブインで少し休憩を入れる。

曇ってきたのもあり、気温はあまり上がらなそうだ。おかげさまで歩きやすいし、さらにこれからはひたすら下り。まだいわき市街まで27キロの距離が残っているが、気持ちは物凄く楽になる。

山あいの集落を眺めながらのんびりと下って

たまにあるトンネルも少し長いが、その分きちんと整備されたきれいな歩道があるおかげで怖いどころか、旅路の中の良い緩急として楽しめるレベルだ。

てな具合で、歩きやすく楽な緩い下り道の連続に、天気も歩きやすい曇り空ときた。

かといって風景は楽しむほどのものではなく、峠を下りながら、だんだんと横石は思考の沼に落ちていった。

というのも、色の無い曇り空と風景をぼやーっと見ながら歩いている時、ふと感じたのだ。

「人間に言葉が無かったら(要するに全ての物事に名前がなかったら)世界はどう見えるんだろう」

ここでツッコミが来るとしたら「いやいや、言葉が無くたって目はあるんだから、見える風景は同じでしょ?」だろう。

でもよく考えてみて欲しい。

貴方たちは、転がってる石ころに風景を見たことがあるだろうか、そこらへんに生え散らかっている雑草たちを風景として捉えているだろうか。

ほとんどの人は、そのようなものを目に入っているはずなのに認識もせずに普段の生活を過ごしているはずだ。

逆にひまわり畑や桜並木は「風景」として様々な感情をもってして捉える。

この違いはただ一つ。その物に名前がついているかどうかだ。

さらにいえば「桜」や「ひまわり」などの固有名詞だけで無く、もし「川」や「花」などの抽象名詞さえもない世界だったとしたら(それが横石のいう「言葉の無い世界」)人間にこの世界はどう見えるのだろうか。

もちろんその世界には「赤」や「青」など色の名前さえ無い、ということは色の認識さえできない。そんな世界がもしあるとしたら、自分たちの目にこの世界はどう映るのだろう。色さえ認識出来ない世界で、この草木や空は何色に、どんな形に、見えるのだろうか。

多分、無味な世界が目の前に広がっている。

本当は青い海があったとしても、美しい紅葉の山並みがあったとしても、それら全てがまるでそこを流れる空気のように視界に入らないと思う。

現にほとんどの人間が道端に咲く雑草の花や少し綺麗な石ころに目もくれないように。

ただ、その世界は「言葉」を知るだけで初めて無味無臭ではなく彩りを持ってこの目に飛び込んで来ると思うんだ。言葉という装置ひとつで人間の世界は何よりも豊かなものになると思う。

例えば植物学者が見ているこの風景と横石の見ている風景は全く違う世界が広がっていると思う。

そう思うからこそ、横石はなるべく目の前のモノの名前を知るべきだと思うし、自分自身知っているものを増やすように努力している。

人間は物事の名前を知って初めて、その「なにか」に様々な気持ちを持って接することができると思うんだ。言い換えれば、名前を知れば目の前の世界は何倍にも広がる。

そう。道端の草や生き物たちに、少しでもいいから興味を持って、名前を知るだけで、わざわざ大金叩いて海外旅行へ行って「世界が広がった」という人たちの何倍も、目の前の世界は広がると思っている。

名前を知ればこっちのものだ、今まで見向きもしなかった雑草や花々、生き物たちは、自分の知っている世界の中の、とてもうつくしいものとして、きっと、目の前に広がっているから。

そしたらこの世界はきっとすごくカラフルで、普段の生活で道を歩いているだけですごく幸せなんだろうなぁ。

横石が今、「つまらないつまらない」とぼやいてるこの曇り空の国道でも、いつか本当の意味で楽しめる日が来るのかな。もっともっともっと、色んなことを知りたいなぁ。

目の前の世界を広げるって、

きっとそういうこと。

目の前の何かを愛するって、

きっとそういうこと。

旅をするって、

きっとそういうこと。

麦わら帽子の子供が夢中で虫を追いかける
隣の貴方が愛おしそうに花を眺める

その虫の名前も
その花の名前も
僕は知らないけれど

きっと

君から見えるその虫は
貴方から見えるその花は
とてもとても
輝いて見えるんだろうな

僕から見える君たちと
おんなじようにね

長いこと色々書いてしまったなぁ

でも横石の本当に書きたいことが書けた気がする。長い旅を通して、本当に横石が追いかけたいものも少し分かっていただけただろうか。

気づけばいわき市街まで降りていた。

長い長い思考の旅をしていたみたいだ。

いわき市街に降りてきた瞬間、目を覚ませといわんばかりの雨

直ぐ近くにコンビニがあって助かった。

思考の沼にハマるのも好きだが、今横石が旅をしているのは目の前にある現実だ。それだけは間違いない。

ただ、現実を歩くだけでは寂しいこともある。そういう時はまた、少しだけ横石の頭の中の世界に付き合ってください。

今日は43キロ歩いたとは思えないほどの疲労の無さだったなぁ。まぁ下り基調で、迷うような道でもない一本道だったからかな。

しかしいわきは都会。当然野宿できる場所など殆どなく、ネカフェに潜り込んだ。明日からはいよいよ関東に突入するが、寝る場所探しに苦労しそうだなぁ…

でもこの足で関東まで入るとなると、結構達成感もあるんだろうなぁ、楽しみにしておこうと思う。

それではまた明日。

歩行距離 43キロ

福島県平田村→福島県いわき市

総歩行距離 1177キロ

いよいよ変態感溢れる魂のジグザグ歩行


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828 件のコメント

  • はじめまして
    日本一周自転車旅、徒歩日本縦断旅と読んで最近また
    自転車旅を読み返しています
    (今は2年目乗鞍岳のベースキャンプのところまで)

    自転車旅と今の横断旅のブログを同時進行で読んでいる
    のでとても面白いです 笑

    文章が変わりましたよね
    はじめの頃はびっくりマークがたくさんあって文章にも
    自転車のような疾走感があって面白かったです 笑

    横断旅も頑張ってください
    毎日の更新を楽しみにしています

    • 初めまして!
      そんなに沢山読んでくださっているなんて本当に幸せです…!ありがとうございます😊
      ブログの書き方はやはり若さゆえの疾走感もある気がします!あの頃は大学生なりたてだったのとか!どちらにしてもまだまだ楽しんでくださると嬉しいです!

  • japarney へ返信する コメントをキャンセル