天空の城(徒歩日本横断#76)

76日目の今日は兵庫県朝来市にある竹田城の麓の虎臥城公園にて旅史上最高の早起き、というかもはや夜の朝4時にテントを片付ける。

理由はただひとつ。すぐそばにある竹田城が「天空の城」と言われる所以である、雲海を見るためだ。竹田城は古城山山頂に築かれた豊臣期最高の山城と名高く、その標高は354m。そしてこの地域は条件が揃えば雲海が発生し、そのとき竹田城は雲に浮いた「天空の城」となるのだ。

10月〜11月の早朝は雲海を見れるベストシーズンであり以下の条件が揃いやすい

①前日、当日の天気が晴れ

②朝と昼の気温差が大きい

③夜から朝の湿度が高い

④風がほぼ無風

そして今日の早朝天気予報を確認すると、その全てが揃った、まさに来たるべき日。

テントを片付けて外に出るとまだ暗くて詳しくは確認できないが、確かに町の外灯はモヤモヤしているので条件通りに霧は発生していた。

急いでヘッドライトを装着し、4時半過ぎに歩き始める。

麓の公園からすぐのところに登山道があり、そこから1キロほど山を登れば山頂の竹田城だ

ただ、夜の山道はめちゃくちゃ怖い。

有名な観光地といえど、ほとんどの人は車で別ルートから中腹まで上がるのでこの登山道を使う人はまだ日も上がらない暗闇では皆無なのだ

ヘッドライトの光だけを頼りに登っていく

しかもこの山道は結構な急斜面。そりゃ確かにわずか1キロほどで250mの標高を登るとなれば平均斜度は25%、距離はともかく、斜度だけで言えば普通の登山よりきついのだ。

そしてもちろんまだ夜みたいなものなので鹿たちもウロチョロしているという怖さもある。

そんな山道を、滝のような汗をかきながら中腹まで一気に登り少し休憩。

防寒着を脱ぐためにヘッドライトを外し、ふと上を見上げると煌くのは無数の星

「あれ?さっきまで霧で全く星が見えなかったのにどうしてだ?」

まるで異世界に放り込まれたかのような不思議な感覚だ。10分前まで見えなかった星が見えているんだから。

切れた息を整えながら思考を整理する

「あ、そうか、雲を抜けたのか」

そして横を見ると少し明るくなった薄暗い闇の中で、確かに雲海が広がっている。

その雲海はまさに「海」のように濃く広がって下はもう全く見えない。同時に鳥肌が止まらない。

「あぁ、今確かに、自分は旅をしている」

なぜかわからないが実感する

不安と恐怖も交わる中で夜の闇を切り裂くように山を登り、人生初めてとも言える本当の雲海を目の当たりにしたからだろう

そして頂上に辿り着き、まだほとんど人のいない天守閣へと曲輪沿いに階段を上がっていく

だんだんと東の地平は赤く染まっていき、雲海は全貌を表していく。ただ立ち竦んで、その光景を目に焼き付ける

自分の下で動く雲、徐々に明るんでいく地平

現実感のかけらもない風景が今目の前に広がっている

言葉は人より沢山知ってきたつもりだ

だけどもこの風景は、今まで知ったどんなに綺麗な言葉でも例えられない

多分今目の前に広がっているのは、人間の作り出した言葉という装置では到底追いつくことのできない風景なんだ

そして太陽が東の山から顔を出し

光が差し込む

お城を360度囲んでいた雲は朝日に照らし出されて黄金の海になる

太陽が昇る、ただそれだけ

こんなに単純で

だけどもこんなに美しいことを

地球はもう数え切れないほど繰り返しているんだな

言葉に出来ないほどに感動しているのに少し笑えて来てしまった

だって太陽が昇るだけでこんなに美しいこと、こんなに旅をしてきたのに知らなかったから

「まだまだ知らないことばっかりじゃん」

そう思えてきて笑ったんだ

この太陽が出ている東の方角、その最果てからここまで歩いてきて、見つめる朝日は格別だ。それが雲の上ならなおさら。

この風景を忘れないでおこう。

これから朝日や夕日を見る暇もないほど自分が追いやられる日が社会人になったらくるかもしれない。だけどさ、「もしかしたら今日もどこかで最高の雲海が広がっていて、未来に旅に出た誰かがそれを今日の横石みたいに見ているかも」そう思ったら、なんか自分まで元気が出てきそうだから。

そう、世界は自分の生きている場所だけで回っているわけじゃないことを、この天上の絶景は教えてくれた

日が昇りきるまで天空の城を堪能し、いよいよ下山だ。天上の世界には人はいつまでもいられない。横石は今日も歩くのだから。

それにしても横石は本当に運が良い。ただでさえ雲海の出やすい日に日程調整も移動もできない徒歩旅で最高の1日をピンポイントで引き当てたのだから。

紀伊半島といい、いつも最高のタイミングで最高の天気が待っている。多分名前が「陽大」だから太陽は完全に味方してくれている。

下山は元来た道だ

行きは暗すぎて見えなかったが、こんなに急だったんか…帰りは膝をひいひい言わせながら無事に竹田の町まで戻ると

いや、そりゃそーだよね、雲海になってるんだから下界は霧だよね。

もうどっちの世界が本当か分からない

ってくらいに未だあの光景が忘れられずフワフワした足取りで歩き始める

以上。世界一長い前振りになったけど、実はまだこれから40キロ歩くのだ。むしろ今日は竹田駅に戻ってからがスタート。山の往復を合わせて44キロの道のりだ。

まぁピークのピークを早朝に迎えてしまったのは百も承知。ここからは何を書いてもあまり響かないと思うので簡潔にいきます。

午前10時。霧が完全に晴れて快晴に

ここ最近毎日晴れ、というか快晴。朝は6度とかなのに昼は21度で歩いてると暑いくらいだ

道のりはひたすら国道9号を北西の鳥取方面に進むだけの簡単なお仕事

毎日書いてるけど相変わらずのどか

というかそれ以外書くことないくらいのどか(書くことないからネタ作りで竹田城行ったわけではない)

ただ、道端の自販機ゾーンは山陰感ある寂れたいい味出してるんだよなあ。はやく山陰名物の「あの」自販機が出てきてほしい。多分島根あたりでどんな自販機かはネタバレするのでお楽しみに。わかる人はわかるやつです。

秋桜が綺麗だったので撮った。イミナシ。

さらに早送り。目的地の道の駅まで最後は標高400mの峠越え

京都を出てからは毎日の日課だったいくつもの峠越えだけど、見事なループ橋を久しぶりに見て若干テンションが上がりながら

頂上で1.2キロの長いトンネルを抜けて香美町へ(香美ってきくと去年の高知にも同じ地名があったのを思い出す)

そして峠を降っている最中に、今日野宿する山間の小さな町をとらえる

また今日もしっかり盆地なので冷えそうだなぁ

そのまま道の駅に5時半にゴールし、近くのスーパーと薬局で食材と少なくなった消耗品を買い足し

道の駅村岡でおやすみなさい(この4日間で173キロ歩いて今日めちゃくちゃ朝早かったのもあってだいぶ疲れた)

明日はいよいよこの旅初めての日本海へ

ひっさしぶりの海じゃ!!

歩行距離 44キロ

兵庫県朝来市→香美町

総歩行距離 2627キロ

今年ギザギザすぎ

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