劇場世界(徒歩日本横断#95)

大分県中津市の道の駅なかつで過ごした昨晩、夜の11時頃だろうか

テントを道の駅の裏手のウッドデッキに張っていたのだが、ものすごいバイクの爆音で目が覚める。その爆音はどんどん近づいてきた。嫌な予感だ…そして爆音はテントを囲むようにして止まった。

予感的中。どうやらここは今時珍しくなった暴走族たちの溜まり場となっていたらしい。

バイクの灯に照らされてどうすることもできずにとりあえず狸寝入りを決める。

「おい、人寝てんじゃねーか」

「全然気づかんかったなぁ、あーさみ」

(ここでクラブミュージックみたいなの流し始める)(その間ひたすら息を潜めて寝たふり)

そして一人がバックパックの看板を見て

「え?これ徒歩日本横断ってマジか?やべーな」

「うるさくしたらあれだし、違うとこ行くべ」

えええええええ!お前らいいやつじゃん!!!

思わず声が出そうなくらい感動、まさかこの看板に救われる日が来るとは…

そして感動とほぼ同時に

「そうやって気を遣えるならもっと根本的なところがなぜわからん」

まぁヤンキーはそれがわからないからヤンキーなんだけどね。とりあえずまたもものすごい音でバイクたちは去っていき一安心。恐怖を乗り越えたと同時に眠りに落ちていった。

そして朝、まだ日も出ていない5時半だが久しぶりに早めのテント撤収だ。九州とはいえ夜は冷え込むので手の感覚を無くしながらもなんとかテントを片す。理由はこれだ

今日は10日ぶりくらいに50キロの歩行を予定していて、しかもその目的地は国東半島に突入。いつも通りに8時くらいに歩き始めては流石に夜真っ暗で危険だろうということで、6時過ぎには歩き始めるようにテントを片付けたのだ。

キンキンに冷えた朝の空気の中で、空が明るみ始めた東の方角に向かって歩き始める。ゴールは日本最西端のはずなのになかなか西へ向かわず、なんなら真逆に向かって歩くのももはやお家芸。それだけたくさん色々見て回ってるってことやもんね。

だんだんと空全体が明るくなってきた頃、冷え込んだ朝にしか見ることのできない低い霧が朝靄となって大地に薄いベールをかける


その風景はさながら映画のワンシーンのような幽玄さが漂う

更に歩いていくと、ちょうど朝日が東の方角から顔を出して目の前を眩しく照らし出す。それとほぼ同時に霧も黄金色に染まり、目の前の光景の神々しさに思わず立ち止まった。

モヤでその場の空気自体が黄金色に染まり、ススキとその奥の工場群がまるで人類が殆どいなくなったディストピアの世界のようにも思えてしまうほどに惹きつけられていく。(ちなみになんですけど、この写真たちマジで加工してないので、見たまんまでお送りしてます)

劇場世界の一コマで時が止まってしまったかのような風景だ

むしろこのまま止まっていて欲しい。そう強く思ってしまうほどに儚い美しさがそこにはある

朝靄を空に裂いた
君のその柔い手が
白銀製の帳を
容易くさらっていく
知らぬまま大人になるほど
懐かしさも残るけど

それも全部かき混ぜて
回り出す今日は綺麗だ

そう、今朝はまるで霧の中で誰一人もいない映画の世界に迷い込んだような、そんな不思議な朝だった。

長距離を歩くために朝早く出たのにそんなこともすっかり忘れて迷い込んだ映画の世界、霧が晴れた瞬間に現実に戻ってきたみたいな気分だ

まぁ霧が晴れても、相変わらず綺麗な世界には変わらないんだけどね。宇佐市に入っていたが、市街地ではなく少し逸れた道を歩いていたのでずっとこんな感じの広大な農地の中を歩いていく。

朝早く出た分の貯金はむしろマイナスになるほどに写真を撮っていたが、まぁいいや。その分しっかり素敵な風景を拝めたから。

劇場世界の一コマのあとは日常世界の一コマへ

ああいう見惚れてしまうような風景も素敵だけど、やっぱり世界は日常の積み重ねでできている。

旅を続けていてやっとわかってきたが、自分の中の大切なものも、伝えたいものも、こういう日常の一コマだ。誰もが認める風景を綺麗に写真に収めるのは当たり前だが、日常の一コマや何気ない風景を切り取ることにこそその人の感性が現れるし、自分が歩いて旅をしてカメラを構える意義がある。目の前にある単純で退屈とも思えるかもしれない毎日の美しさを誰かに伝えられる写真を撮ることの方がよっぽど難しくて大事なことなのだ。

宇佐市から次の豊後高田市に入ると昭和の町という文字があったので寄り道してみる

確かに昭和臭がプンプンだ

まぁ横石は昭和を実際に過ごしてないからわからないけど、オールウェイズ3丁目の夕日を昭和のステレオタイプとするならばまさにこの町は「昭和」そのもの。店の看板の字体とかもなんか懐かしい感じがする。

ちなみに八百屋さんに偶然にも小さな子供がお使いにきてるシーンに出くわしたのだが、それがこの町一番の「the昭和」だった。

豊後高田市の市街地からは国東半島をぐるりと回る国道213号に合流する

いよいよ本格的に国東半島へ突入だ

まずは真玉という国東半島一押しの名所へ

なにしろ夕日百選の海岸があるらしく、結構観光客も訪れるらしい。そして海岸以外にもう一つの名所が今年から始まったトンネルアート

真玉の道は恋叶ロードと呼ばれているらしく(理由は知らん!)真玉海岸につながる真玉人道トンネルの壁面にズラリと恋叶アートが並んでいるのだ。since2020と書いてあるので今年からなのだろう。

クオリティが高い絵画から

可愛らしいタッチのものまで

全然独り身だけど余裕で楽しめたのがまた悔しい。

そんな感じで「トンネル自体も撮っておくかぁ」と思いふとカメラを構えてパシャリ

あとあと写真を確認すると

「え?トンネルの先に誰かおる?」

アップで確認

おいおいおいおいwww

まさかのめっちゃポージングばっちりのカップルが光に包まれて映っていた。トンネルというロケーションも相まってバージンロードを歩いている新郎新婦のようにも見える。

うーん。恋叶ロードって「恋叶う」じゃなくて「恋叶った」って方なのかな。過去形だよねこれは。

そんなトンネルを抜ければすぐに真玉海岸だ

干潟に海水が染み込んで幾重にも重なり、まるでミルフィーユのような層を作っている。

これは今まで見たことないタイプの絶景海岸だ

残念ながら夕日を拝むことは時間的に厳しいが

実際こんな感じになるらしい。是非いつか拝んで見たいものだ。その時はもちろん「恋叶った」状態でね。いや別に今のところ恋してる暇ないけどね。

とりあえず早速国東半島にいいもん見せてもらった。というか今日はいい景色見れる運がある

そして真玉を過ぎると国東半島は「流石半島」といった具合でアップダウンが激しくなる

一回登っては

高台から海を眺め

下っては

小さな海沿いの集落へ

そしてたまに

コンビニこそないが大きめの町へ

の繰り返しだ。

単調ではあるが、雰囲気の良い集落や青い海で小さいけれども奥の深い半島である気がする。

そして峠の頂上のトンネルで

国東市へ入り

本日の目的地の道の駅へ

朝早く出た貯金はなくなったくせに、なんだかんだかんだ暗くなる前の5時半には50キロを歩き切って辿り着くあたり、必殺仕事人のようなプロさが際立つ。多分止まる時間が長かった分、歩いてる時の歩行速度を無意識に時速5.5くらいにあげていたのだろう。

飯は地域唯一のスーパーで最後に残っていた

3割引き弁当で

今日の夜は昨晩とは打って変わって暖かい夜だ。最近わかってきたが、晩秋から冬のこういう日はだいたい次の日が曇りか雨になる。逆に冷え込んだ夜は次の日が晴れる。これはなんの根拠もないけど横石が今まで野宿を重ねてきて手に入れた持論です。ということで多分明日は曇りか雨です。外れたらごめんなさい。

歩行距離 50キロ

大分県中津市→国東市

総歩行距離 3292キロ

こうしてみると東へ向かっているのがますます滑稽

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7 件のコメント

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