遠くへ(徒歩日本横断#96)

96日目の今日は国東半島の道の駅くにみで起床

風もなく寒さもなくさすが国東半島というべきか、人もほとんど来なくてゆっくり眠ることができた。

そんな今日は国東半島の先っぽにシーズン以外は無料のキャンプ場があるらしく30キロほど歩いて向かうことに。

そんなに大した距離でもないので、朝はのんびり歩き始める

天気は想定通り曇り。やはり冬に夜の冷え込みがそうでもない日は次の日曇りか雨説は結構当たる確率高い気がするんよなぁ、、

朝のうちだけ少し晴れ間も見えたが、その後はどんどん曇っていき、だけども気温は高いのでノースリーブでも大丈夫という歩きやすい日だ

そして冬が近づいている季節の曇りはやけに寂しい風景が続く。

国東半島に田舎道が続くことも寂しい風景の原因なのだが、なにより落ち葉が多くなり、山の緑が茶色になっていき、虫や生き物たちの声も聞こえなくなってくるのが一人で歩いているとモロに伝わってきて寂しいのだ

ちなみに国東半島にも町はいくつかあるが、道中たまに見かける集落はほとんどこんな感じ

山あいの小さな里山と言ったところか

それにしても今年の旅では紀伊半島に山陰に国東半島ととことん日本の中でも田舎道を味わい尽くしている気がする。仙台や東京、名古屋に大阪も通ってきたのが嘘みたいだ。

そして国東半島は自転車日本一周でも通っていなかったので今回初めて旅をしているが、もっと「海だー!やっほい!」みたいな海沿いの道が続くことを想定していたけど、そのほとんどはアップダウンの連続

この程度のアップダウンはもちろんきついとは思わないが、飽きはくる。

天気も曇りだし、、距離もあまり歩かないし、、今日はモチベーションが低い日だ。

こういう日は道端の風景を楽しむに限る

「あっ」と息を呑むような絶景には出会えないけど、歩いている限り風景は動いていくわけで、そうなってくると、もはや何気ない風景に目を止めたもん勝ちみたいなところがあるわけだ

そういえば最近やっと冬の花といえばこれ!みたいなツバキとサザンカの区別がつくようになった。今までは葉っぱや花の色、形もほぼ同じだし分からなかったけど、なんとなくサザンカの方が花びらがふわふわしてるのよね。

サザンカやツバキを見ると「冬きたなぁ」って実感する。夏はひまわりから始まって、彼岸花→金木犀→コスモス→サザンカ→ツバキと季節を追うごとに道の彩りも変わっていくものだ。これは徒歩旅をしてから気づいた楽しみの一つだ。

そして国東市の中心部、国東町に入る

国東町に入るとようやくしばらく海沿いの道だ

まぁ寂しいことに変わりはないんだけどね

曇りの海、しかも国東半島は九州で唯一とも言って良い「瀬戸内海」に面した海で、海の名前も伊予灘なのだ。おかげさまで波もなく、音が無い静寂の灰色に染まる海や小さな港町は哀愁さえ漂よう

そんな海沿いをのこのこ歩いているとだんだんと歩いてきた方向から雲がとれて青空が顔を出す。まるで青空と曇り空が戦っているかのように境目が交わらずに存在している。

結局短い時間だったが今歩いている場所だけ青空になり日も差した。

そんな晴れた海を眺めていると、目の前の海に浮かぶ岩に古ぼけた鳥居

田舎町の海ではよく見る光景だが、こんな風景が好きだ。八百万の神の信仰は「自然の至る所に神様は存在する」であって、そんな信仰心がよく現れている。じゃないと、こんなところに鳥居を作らないもんね。

そしてこういう何気ない寂れた鳥居にこそ本当に神様がいそうな気がしてならない。子綺麗な神社よりよっぽどこういうところの方が住んでそうなんだよなぁ。

その後も曇り空から時々日が差してみたり

そうやって日が出るとすかさず鵜が羽を広げて日光浴したり

そういうありふれたものをパシャパシャしながら、のんびり歩いていく

ヤギもいた。田舎にヤギってめちゃくちゃ相性がいい。ちなみに「めぇぇぇぇ」っていう鳴き声が響き渡るのは少し不気味である。

そして国東市街で食料を買い、今日の目的地へ

寂れたオフシーズンのキャンプ場だが、めちゃくちゃ広いバーベキュー棟があったのでこちらに寝かせていただこう。屋根があるとテントの結露の心配がなくて本当にありがたい。この時期は晴れていても迂闊に野外でテントを張ると冷え込んだ気温でテントは結露によってびしょびしょになるのだ。

後は目の前の海を眺めながら、のんびり本を読んで夕暮れを待つ。

1時間半ほど本を読んでいると、市内放送で夕方の5時を知らせるメロディーが流れる

聞こえてきたのは「遠き山に日は落ちて」

聴き慣れた音楽だ。長崎で小さい頃に散々聞いたあの夕方の音楽

そしてそれを聞くと同時に懐かしさと切なさが同時に襲ってきた。急に昔を思い出すあの感覚

小学生の頃は毎年新幹線で長崎にいって夏休みの1ヶ月本当に楽しい毎日を過ごした。朝はクマゼミの甲高い鳴き声に包まれ起きて、ばあちゃんに少し勉強させられて、それでも遊びに行きたくて仕方がなくて昼ごはんを食べたらすぐに川や海へ、、日が暮れるまで泳いだり虫や魚を取って、夕方ひぐらしの鳴き声が響く頃に家に戻ってご飯を食べて、ばあちゃんがデザートに果物を剥いてくれて…親戚がくればみんなで花火をして海へ行って、、たまに上の家でバーベキューをしたりして、、

たまーにジャスコに連れて行ってもらえるのがすごく嬉しくて、、

そんな変わり映えしないありふれた夏休みだったのだけど、2度と戻りはしない時間だ。なんなら今の方があの時よりも断然いろんな風景に出会って色んな経験をしているけども、あの時に見た世界ほど輝いては見えなかった気がする

そんなことを思っていたら大きな音を立てながら飛行機が飛んでいった、この場所は大分空港のすぐそばなのだ

大きくなった横石は、もう一人でどこにだって行けるようになった

しかもそれは新幹線や飛行機ではなく、車や電車でもなく、自分の足さえあればどこへでも。

だけどあの頃、そう、長崎で夏を過ごしていたいた小学生の頃より、「どこへでも」行けていない気がする。もちろんこれは物理的な距離のことではない。もっと心の奥の方の言語化できない距離感だ。

そうだなぁ

例えばあの頃は、半径1キロの世界でしか冒険をしていなくても「どこにでもいける」そんな気がしていた。実際あの頃の半径1キロの世界は、今の半径10000キロよりも広かったんだ。目に映るもの全てが新鮮な「世界」を作っていて、吹き抜ける風さえも毎秒違う風が吹いていた

だから今は何千キロも歩いて旅をしているのに、あの頃よりも「遠くへ」行ける気がしない

それは多分、今頭上を飛んでる飛行機に乗ったとしても、スペースシャトルで宇宙旅行に出かけたとしても、、、

だからこそ、こうして旅をしているのかもな

多分自転車や歩きを旅の手段として選んでいるのは、もちろん「自分の足で」というロマンもあるが、それと同じくらいに、物理的な距離ではなくもっと心の底から遠くへ行くために自然に選んだ手段な気がする。

少しでもあの頃と変わらず「どこまでも」

遠くへ行くために

この旅が終わった時

「遠くへ来たな」そう心から思えること

それが5年間の旅の本当のゴールなのかもしれない

そんなことを思いながら飛んでいく飛行機を何本を眺めていた。

歩行距離 30キロ

大分県国東市国見町→武蔵町

総歩行距離 3322キロ

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224 件のコメント

  • 国東半島は気になっている場所でした
    恋叶ロードのトンネルカップルは絵画のように
    美しい写真ですね

    子供の頃の思い出はかけがえのない宝物です
    私の思い出は五つ先のバス停を大冒険に感じたり、
    自転車で訪れた知らない街の鉄塔を見て突然怖く
    なったり、、、笑

    幼き日々の思い出は眩しくてそれでいて儚いです
    美しいものを美しいと思える純朴な気持ちはずっと
    持ち続けていたいですね

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