くにさき周遊記(徒歩日本横断#97)

97日目の今日は国東半島の先っぽにある龍神海水浴場の東屋で起床。

夜は天気も晴れて波の音しか聞こえない静かな夜に満点の星空。少し怖くなるくらいに綺麗な夜だった。

大分空港が近くにあるので、たまに飛行機も飛んいったが、星空の下を低空で飛んでいく飛行機は宇宙を飛んでいる宇宙船のように輝いて、夜の風景に彩りを持たせていた

朝6時半に起きてテントの外へ出ると、まだ日の出前だが、東の空が明るんでいく

日の出を待ちながらテントを片付け、ちょうど出発の準備が出来た頃には

ちょうど真正面の海から太陽が昇り、眩しく照らされる。

ふと思ったが、ここ国東半島は「国の東」と書く通り、九州で最も東に面していて、その中でも1番東の小さな浜辺で日の出を眺めている横石は、実は九州で1番早い日の出を見ていた。

少し冷たい空気も一気に暖まり、そんな気持ちのいい朝に97日目の旅路はスタートした。

今日で国東半島の海岸線をぐるりと周り終えて、44キロ歩いて別府市街へと向かっていく

まずは5キロほど歩いていくと大分空港がすぐ目の前に見えてくる

国東半島の先っぽにあるとは思わなかったなぁ。まぁ大体空港なんて土地が必要な分僻地にあるのはデフォルトだが、それにしても遠いだろ。少しは福岡空港を見習って欲しいものだ。

道中は良く方言でかかれた注意喚起の看板を目にした。やはり九州の言葉は小さい頃から聞いていたので馴染みが深く懐かしくなる(九州各地で方言は違えどベースは一緒。まぁ南九州と北九州は全く違うけど)

ちなみに横石は九州に入ると大体1日何回かは海援隊の武田鉄矢を聞いている。もちろん理由は武田鉄矢が生粋の九州人で歌にも時たま方言が入っているから。武田鉄矢の歌を聞くと「九州を旅してる感」があるのだ。それと同じように北海道を旅している時は松山千春がお供。

海沿いを歩いていると予報では曇りのわりによく晴れて暑いくらいだ。11月も中旬に入るのに、ノースリーブで汗をかきながら歩いている奴もどうかと思うが、それだけ歩いていると暑くなってくる。

ちなみに明後日の気温は25度にいくらしく、まさかここに来て夏日を味わえるかもしれないのでもはや楽しみになっている自分がいる。

そして丸2日ほどかけて歩いた国東市を抜けて、杵築市にはいる。国東半島も終わりが近づいてくると同時に、ここぞとばかり色んな方から声をかけていただき時には差し入れまで頂く

全国の方に優しくしてもらっている横石なので、あまり「どこが」とかは言いたくないが、そんな気持ちを加味してもやはり九州の方々は特に温かいなぁと思う毎日だ。なんというか「人懐こい」感じだろうか。気候が暖かいとかは関係あるのかな、なんて思ったりもする。

お昼を過ぎて杵築市街地に入る頃には暑さもマックス。大体23度くらいだろうか。みかんや飲み物をたくさん貰っていたが、久しぶりの暑さであっという間に食べてしまった。

東北を歩いていた時は岩手とかで37度とかいう頭おかしい日があったけど、そういう日に40キロを超えて歩いていた横石もやっぱり頭がおかしかったのかもしれない。23度でも「まーまー暑いなぁ」なんて思っているのだから。

杵築のシンボル杵築城に見守られながら、今日はどんどん先へ進んでいく。

まぁ寄り道するほど見るものがないっていうのもあるけど、それ以上に今日は実は別府で友達と待ち合わせているという楽しみな用事がある

そいつは横石や相方が出場していたレッドブルの旅の世界大会に参加していた、いわば同志で、今回は偶然仕事で2週間ほど大分に来ていて、しかもちょうどその2週間の終わりの今日に別府へ行くということなので図らずも会えることになったというわけだ。

その大会の日本代表は9人しかいないが、まさかのそのうち一人が大分にいるという奇跡。しかも同室でホテルも取ってくれているので、京都ぶりに友達と会える横石は楽しみで仕方がないのだ。

なにより「大分にいるんだけど会える?」と旅をしている横石を気にかけてくれて声をかけてくれることが1番幸せなんだけどね。

という事情もあって、今日はガンガン進んでいる次第である

と言っても国東半島の街並みは、無視するに出来ない風光明媚なものも多い

ほら、これとかすごくない?

河口の岸壁に家が立ち並んでる。

「杵築城がこの崖の上にあったら難攻不落もいいところだろ」と横石は思うのだけど、どう思います?実際この崖の上に壮大な城なんてあったら今頃めちゃくちゃ観光地だと思うんだけどなぁ…

なんておせっかいなことも思いながら歩いていくと次の日出市街へ

別府まで13キロ、大分市街もだいぶ近くなってきたのでここらへんから風景は都会になっていく

そして日出市街を進んでいくと、まもなく国東半島の終わりだ。ちょうど別府方面が曇っていて見にくいが海と陸地が直角に曲がっているところがあって、その先が別府→大分となっていく

そしてその地点がちょうど国東半島の付け根なのだ。2泊3日でぐるりと一周したが、やはり予想通りのどかな半島だった。強いて言えば海沿いを歩いているくせに割とアップダウンの山道が多くて海はあまり見えなかったのが残念

そこから先はヤシの木が並ぶ別府湾沿いの広い国道をひたすら歩いて別府市街へ向かっていく

なんといっても別府は温泉!おんせん県大分の中心となる場所でもあり、人口でも大分市の47万に続く2位の12万人が住んでいる。(大分市って意外と人口多いんだな、と思って九州の各都市の人口を調べてたけど、県庁所在地であればほとんど40万は超えているみたいだ。どうやら今まで歩いていた山陰が少な過ぎて感覚がバグっていただけらしい)

そして別府に来ると思い出すのは、自転車日本一周一年目の時に今年のように海沿いのルートではなく由布岳や鶴見岳の方から汗だくになって山を越えて別府温泉にたどり着いた18歳の時の思い出だ。

あの時の由布岳を取り囲む別府に下ってくる道が本当に綺麗で今でも忘れられない

2016年より引用

これよこれ!多分今までの長い旅路の中でも10本の指に入るくらい感動した風景だったなぁ…

夏の日差しに照らされて、汗をかいて登り続けたその先で突如開けた空間は、由布岳を望む草原のワインディングロードとしてずっと伸びていて、思わず涙しそうになるくらいに美しかった。青々とした緑のカーテンと雄々しい由布岳によく晴れた青空が本当に忘れられないんだよなぁ…その後に汗を流した別府温泉もまた格別に気持ちよかったんだよな。

「今年もいこうかな?!」と少しだけ考えていたけど、やはりまだ旅をしていないところを旅して見たくて国東半島を回って海沿いのルートを通ってきた。天気も今日見て分かったが、あの山並みはすっかり雲に覆われているので、また社会人になってからの楽しみに取っておくことにしたのだ。

それでも皆さんにこの風景を見てもらいたいので、2016年に撮った当時の写真を上げさせてもらった次第です。ちなみに過去九州を何度も旅したけど、まだこれを越える風景には出逢ってないかなぁ…同率くらいで鹿児島の開聞岳や本土最南端の佐多岬に通じる海も素敵だと思うけどね。

そして気づけば対岸には先ほどまで3日間歩いていた国東半島が既に遠く霞んで見える

歩き旅は進むスピードも距離も、どんな旅よりもゆっくりだが、その反面こうしてふと今までの道のりを眺めると、その歩いてきた距離の遠くに鳥肌が立つほどに誇らしい気持ちになる。誰に誇るわけでもないが、ただ「俺はこの海岸線を歩いてここまできたんだなぁ」ってね

道のりもどんどん都会めいてきて、気づかぬうちに国道10号に合流していたのか広い片側三者線道路だ。さぁ、別府駅はもう近い。

国道沿いの砂浜にまで砂風呂がある流石のおんせん県に驚きながらも市街地へと向かっていく

佐伯で仕事が終わった友は別府まで電車で来るようなので、別府駅に一足先に辿り着いて待っていることにしよう。

久しぶりに一人ではない楽しい夜を過ごさせて頂きます!そんな夜の様子はまた明日!

歩行距離 44キロ

大分県国東市武蔵町→別府市

総歩行距離 3366キロ

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