ゆーとぴあ(徒歩日本横断#105)

105日目の今日は鹿児島県の道の駅くにの松原大崎で起床。

まさかまさかの寝る直前に「テントお断り」の張り紙を見つけてしまったが、もうどこにも行けるわけもないので誰にも見つからぬようトイレの裏にこっそりテントを立てて朝5時半には撤収。歩き旅のこういう融通効かないとこだけはダメなとこだなぁ、、

そんな今日は大隅半島を横断し鹿児島湾に出る

44キロの道のりで、本土最南端も着々と迫ってくるコースだ。

今日も朝から快晴。最近はもうずっと雨も降らず、九州は結局最後まで雨が降らなそうだ。流石九州の血が流れてる横石。歓迎をありがとう

しばらくは細かいアップダウンを続けながら大崎市街地→東串良と小さな町を歩いていき

もうすっかり見慣れたヤシの木に囲まれながらノースリーブでも汗ばむ陽気の11月下旬の大隅半島を歩いていく(最近はノースリーブを着てても「寒くないの?」って言われなくなってきた、やはり南国だからかな)

そして歩き始めて15キロほどで大隅半島で一番の都会である鹿屋市街へ辿り着く。そりゃ本当の都会と比べたら小さな町だがこうして旅をしていれば立派な都会だ。ネカフェもすき家もマックもあるんだからそれだけで旅人からすれば100点満点の都会だろう。

鹿屋市街からは国道を外れて鹿児島湾方面に向けて南西へ、県道を歩いていく

道端にはイチョウの葉と椿の花が入り混じる色彩豊かな落とし物たち。秋と冬の合作だ。

運動公園ではゲートボール大会開催中

コロナがどーとか、政治がどーとか、最近色々と慌ただしい世の中だが、まるで同じ日本ではないかのようにほのぼのした時間が流れている

ほしいもんなぁ、ようちゆう。

どこか牧歌的な風景も九州ならではだ

北海道とはまた違い、山あいの土地をうまく利用しているのでより里山感があり「古里」と言った風景が広がる。

そしてなにより鹿児島に入ってからこの五年間の中でもぶっちぎりで1番のレベルで沢山のお声がけを頂くのが本当に嬉しいかぎりだ

この写真でも今日いただいたものの中の一部でしかないが、声をかけてくださるのは当たり前で目が合えば「どっからきたと?」と笑顔で話しかけてくれて、差し入れも上の写真以外にも「ラーメン食べるか?」とか「みかん食べなぁ」とか「飲み物ほら!」とか、、、挙げ句の果てには具体的に言うのも憚ってしまうほどの額のお金をいただいたり、、、

兎にも角にもこんなに旅をしてるにも関わらずここまで沢山の声援と差し入れをいただけたのは流石に初めてで、コロナの不安の中でも「ようここまで来たなぁ」「すごいすごい!後少し頑張れ!」と見ず知らずの旅人にかけてくれる労いと応援の言葉に思わず涙してしまいそうな場面も何度かあったほどだ。

特に「ようここまで来たなぁ」と言われるたびに、本当に北海道から本土最南端の都道府県まで歩いてきた事実と、日本で1番先っぽの鹿児島県民が持つどこか誇りのようなものを感じられて鳥肌が立ちそうになる。

例えるならラスボス手前の村で勇者に対して村長が「ようここまで来た」と言ってくれるような感覚か。

そしてなにより心地いいのがこうして社会生活から外れた旅をしてるからこそ、普段人が何枚も重ね着している自分を大きく見せる学歴や会社名みたいな肩書きは一切背負わず、何も纏わない裸同然の「自分自身」「自分の名前」で人と出会い旅をできていることだ。

特に今旅をしているこの鹿児島という土地は、そんな「その人自身」をどこよりも受け入れてくれる優しい土地なんだろうと実感する。

まったく、、ここで道ゆく人たちにブーイングでもされて唾でも吐かれれば「もう旅なんてするもんか」って思えて未練なく終われそうなものなのに、こうもゴールが近い鹿児島の土地で優しさに触れるとまだ全然旅したくなるじゃんか、、憎いぜ鹿児島…

そんなどこよりも優しい風が吹く大隅半島を駆け抜けて鹿児島湾へ

いよいよ本土最南端の「佐多」という地名が出てきて、ゾクゾクとした感覚だ。

そして目の前に広がる広大な鹿児島湾。少し西に傾いた太陽は直に全身に届いて南国らしい暑さをこれでもかと感じる。流れる汗はまるで初夏のようだ。

そして今いる大隅半島側の鹿児島湾からは

鹿児島湾を見て右に

「鹿児島といえば」のシンボル桜島

左に

薩摩富士と呼ばれる名峰開聞岳と、どちらも海越しに望める最高に贅沢なロケーション。これほどまでに「鹿児島」を味わえる道は他にない

そんな大隅半島の海沿いを南北に繋ぐ国道269号がまたここでしか見ることのできない南国らしい絶景

青空に映える南国の花ハイビスカスに

名前は知らないけれども手のひらサイズで目を引く大きな白い花

山側を見れば美しい棚田に

海を見ればもはや当たり前のように眩しすぎる青

これほどまでに「南へ」と向かっている実感ができる道は他にない。

例えば沖縄なんかはどこも南国風景なので最初から「南感」があるのだが、この道は鹿児島市街方面から100キロの長さを経て南へ向かうたびに徐々に南国感が溢れ出てくるからこそ実感できる「南へ」感なのだ。

常緑樹が沢山生えている分、冬でも緑豊かなのがまた雰囲気を醸し出している。

そしてちょうど夕方を迎えた錦江町では

影絵の祭典なるものがあったので少し寄り道

本当にどこかへ繋がってそう

夕暮れと相まって少し寂しくなる影絵

そして本日の目的地

根占の町に入り、本土最南端の佐多岬まで残り40キロまで近づく。

そして夕日を見送り、今日は根占の温泉にのんびり入浴だ。温泉のすぐ前には東屋が広く炊事場まである野宿適地の公園もあり、コンビニもあり、完璧すぎる立地。

そして温泉もなんと330円という安さ。

人だけでなく施設までも旅人に優しいのが鹿児島なのか…

海水のような泉質の根占温泉にゆったり浸かりながらここでも沢山の方に話しかけられ楽しい時間を過ごす。

そしてそのあとは休憩所でのんびり充電をしながら日本シリーズをおっちゃんと観戦。ソフバが強すぎます。

温泉の従業員の方にも飲み物をいただき、最後まで良い思い出しか残らなかった今日の旅路

明日は佐多岬の手前すぐにある無料キャンプ場までのんびり30キロ歩いて、明後日いよいよ九州本土の最後です。それではまた明日。adiós

歩行距離 44キロ

鹿児島県大崎町→南大隅町

総歩行距離 3710キロ

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