なぁ、旅をしよう(徒歩日本横断#86)

86日目の今日は島根県浜田市の東の入り口にある石見海浜公園無料キャンプ場で起床

海のすぐそばで風景も申し分ない上に綺麗なトイレやシャワーまで完備されていて無料。山陰は旅人に優しい地域だなぁ。思わず手を合わせてしまうほど。

そんな今日は曇り予報。明日は雨が降るらしい

せっかくチェックアウトもクソもない無料キャンプ場に泊まっているので、今日は8時過ぎまで眠っていた。「どうせ今日野宿する予定の次の道の駅は25キロしか離れてないしな…」昼に出ても日暮れまでには着く距離だ

「起きても曇りだしなぁ」ぼやっと天井を眺めて二度寝をかまそうかな…なんて思っていた矢先、ふと朝日がテントを照らし我に帰ったように目を覚ましテントの外へ出る。

曇りのはずが、覗く青空。

「これは晴れるぞ」

直感でそう思い、すぐにテントを片付けて9時半には歩き出す

魚の鱗を剥いでいくように、どんどん広がる青空。こういう直感だけは鋭いのか、午前10時にはしっかり晴天が広がっていた。

いや、むしろ暑いくらいに

浜田市街に着く頃には気温が20度を超えてまるで初夏の陽気のようだ。久しぶりにバックパックを背負っている背中にびっしょりと汗をかく。京都を出て以来2週間で1番暑くなった日だろう。

浜田市街は出雲を越えてからは1番「街」に近い感じだ。東横インの高い建物がのどかな山陰で一際目立っている。

山陰お馴染みの商業施設ゆめタウンも規模が大きい。さらに5キロほど先に進むと、ここまで15キロ歩いて時刻は12時半のタイミングですき家があったので駆け込んでランチセットを頬張る。

今日の目的地までは残り10キロだ。普通なら「ゆめタウンのマックで本でも読んで時間潰すか」となるところだが、今日すき家で手っ取り早く昼飯を済ませたのはある理由があった

それはこれから進む10キロが、山陰本線沿いの綺麗な海が広がる絶景ロードだと知っていたからだ。

自転車日本一周のときにもこの道は走っているのだが、その時は今にも雨が降り出しそうな曇天で、風景を楽しむ余裕がなかった。「いつか晴れてる時にきたら綺麗なんだろうなぁ…」そう思い続けて、ついに「いつか」のタイミングが来た今日。昨日までの天気予報は3年前と同じくまたもや曇天予報なので「あぁ、またか…」と思い諦めかけていたのが一転、ここ一番の晴天に変わり、リベンジのチャンスだったのだ。

だけどもあくまで曇り予報だった今日なので、いつまた雲が出るか分からない。

「頼む!あと10キロ、晴れててくれ!」

そう神頼みするのと同じように、はやる気持ちは歩調をあげていく

そしてこういう場面で無類の晴れ男を発揮するのが横石だ。いざという時は必ず晴れてきた男、ここでもその力を遺憾なく発揮する

海が見えはじめた時点で、空にかかっていた鱗雲や薄雲までも消えて、今日一番の快晴

そして山陰本線と道路と海が重なった頃

目の前には旅人生1番ともいえる、青の線路が続いていた

ここ数日晴れていても波が高く透き通っていなかった海もタイミングを合わせたかのように凪ぎ、日本海本来の透明な青い海を目の当たりにする。

線路はそんな海と並行に続き、無限の奥行きがそこにはあった。

言葉を奪い去るほどの美しさ。ただ呆然とため息しか出ないほどの青を眺める

踏切の標識は「止まれ」

だけども目の前の青は水平線をも穿つほど、止まることを知らずに輝いている。

横石も長く旅をしてきた、その中でこれほどまでに旅情を掻き立てられる風景にはなかなかありつかなかったものだが、タイミングはいつも突然やってくるものだ。

あまりにも目の前の風景が琴線に触れすぎて、目の前がクラクラする。千鳥足のように、誘われるように、小さな折居という集落の駅へ

こんな駅知らなかった…

例えば最近有名な海の見える駅「下灘駅」とかも今や立派な観光地で人がいない時はない。

だけども山陰の名も知らなかった駅が、その線路が、踏切が、有名な観光地に勝るとも劣らない美しさで、静かに、今目の前にある。

横石が山陰を好きなところはこういうところだ。人が居ない、あまり観光に来ない、だからこそ残るありのままの「日本」

観光地は嫌でも観光客向けに開発されていくものだが、そういう混じり気が一切ないのがこの土地なのだ。だからこそ旅人は惹きつけられる。

そしてもうすぐそこは目的地の道の駅夕日パーク三隅だ。実はこの道の駅は高台にあり、その裏手から見える日本海と山陰本線の組み合わせは知る人ぞ知る絶景スポット。今日あまり歩かずにここを目的地に決めていたのは、どうしてもこの高台から山陰本線を眺めたかったのだ。

もちろんこの道の駅を通過しても眺められたが、そうではなく目的地として野宿することによって、日が落ちるまでゆっくりと楽しみたかった。

そして道の駅に到着。

時刻は午後2時半過ぎだ。いつもならさらに先へ進む時間だが、やはりここは通過ではなく「止まれ」そう誰かに言われていると感じるほどに綺麗な道の駅だった。

電車が来るまでカメラを構え、待つこと30分

潮の香りを纏って電車が走りゆく

日本海を横目に走るその勇姿はどこまでも爽快で、清らかで、風光明媚だ。

一瞬で過ぎ去るのに、まるで時間が止まっているかのような感覚に陥る。それほどその姿は目に焼き付いていた。

それから幾度電車を見送ったのだろうか

もうとっくに、こんなに、旅をしているのに

「あなたも旅をしませんか」

そう言われている気がしてならなかった

どこか遠くへ行きましょう
片道切符しかないんですか?
いやいやそれで充分です

いいから旅に出ましょうよ
そうしたらいつか
きっと帰って来れますよ
あなたが本当に辿り着きたい
そんなところへ

単線車両はまるでジオラマのよう

そうやって何本も電車を見送っていたら、道の駅の方に声をかけられた

木陰のベンチに移動をして少しお話をする

「今日はどこで泊まるの?」

「実はもうここで野宿させてもらおうと思ってるんですけど、大丈夫ですか?」

「大丈夫よー、ここは何もないところだけど、こうやって沢山旅人が来て泊まって行くから、のんびりしていってね」

「ありがとうございます!」

「そうそう、今年の2月に新しい子猫が生まれたの、今3匹いるのよ。ほら、あそこで遊んでいるでしょう」

「うわ!本当だ!可愛らしいですね」

「そうねぇ、この子達もこの海を見てひだまりの中で呑気に暮らして、いいご身分よねぇ」

「いやいや、それだけこの道の駅の皆さんが僕みたいな旅人をを受け入れてくれるみたいに、優しくて温かいから、こうやって呑気に遊べるんですよ!」

「そう言ってくれると嬉しいねぇ。でも実はこの道の駅は今年の12月で一回閉まってしまうのよ」

「え!こんなに素敵なのにどうしてですか…」

「実は運営しているところとの契約とかの問題もあるし、最近は山陰道が開通したからめっきり車通りも少なくなってねぇ。でもまた運営会社が見つかれば再開をするけど、それもどうだかねぇ」

「…」

「もしかしたら本当に最後になるかもしれないから、ここから見る風景も、この子猫たちも、忘れないであげてね」

今、こうしてここに来れて本当に良かった

「いつか」なんてないんだから

気づけば随分と遅れて、朝からやってくるはずだった雲が流れてきていた

その雲は暮れゆく太陽に照らされて真っ赤に染まる。

この風景を、この場所を、この雰囲気を、忘れないでいよう。

また山陰を訪れたときに、この場所がまだ続いていたなら、今度はここで美味しいものを食べて、猫ちゃんたちの成長を見にこよう。もしかしたら新しい子たちが生まれてるかもな…

そんなことを思いながら、辺りは暗くなる

雲も空を覆い、どうやら明日の雨は覆らなそうだ。

歩行距離 25キロ

島根県浜田市

総歩行距離 2967キロ

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318 件のコメント

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